江戸時代に入ると政治の安定と経済が発達したこともあり、元禄時代には高級香材の使用が一般社会にも及び、香道も武士はもちろん、有力町人層にまで広く浸透しました。上流階級には必須教養の一つであり、習得者も男性中心であったようです。
普及とともに、香道の中でも香りを聞き当てる組香は充実期を迎え、七夕香や源氏香、競馬香など時代に即した視覚的で華やかな組香が多く考案されました。
十六世紀半ば以降には線香が普及し始めていましたが、その頃はまだ中国からの輸入品でした。線香の国産化は十七世紀末から十八世紀初め頃に始まりました。その製造方法は当時から現在まで基本的に変わりません。
この線香は庶民の間にも広く普及し、当時は時計代わりに、計時にも使われました。
現在でも宗教儀礼から一般家庭までさまざまな場面で使われ、最も身近な薫香製品であるといえるでしょう。